昨年度の牡丹俳句大会は、新型コロナウイルスの感染拡大状況から講演会並びに表彰式は中止となったが、今年度は感染症への対策を行ったうえで、5月9日、須賀川市民交流センター(tette)を会場に予定通り実施された。会場には50名ほどが来場した。
今回の講師は、福島県現代俳句協会会長で、福島市俳句協会会長をつとめる春日石疼先生。先生は福島市在住の医師でもあり、演題は「俳句と認知症~その理解と予防~」という高齢化社会の進行する現代にふさわしいものだ。
講演では、認知症当事者つくった実際の俳句の紹介やその傾向など、最先端の研究成果が示されたほか、俳句をつくるときの脳の状態を収束的思考(準備期と検証期)と拡散的思考(あたため期とひらめき期)に分け、金子兜太の実作に沿って作品の成立過程を分析するなど興味深い内容であった。
来場者は、俳句をつくる時の脳の働きについての脳科学による分析や俳句を通して言葉と向き合うことや仲間と交流することの認知症予防効果などに熱心に聞き入っていた。
講演会の後、牡丹俳句大会の表彰式が行われ、春日先生から特選句などについて、丁寧な講評をいただいた。