2021年の牡丹焚火俳句大会は、新型コロナウィルス感染第5波が8月下旬から減少に転じ、密となる句会については実施を控えたが、講演会は入場者数を制限し無事開催することができた。
11月20日(土)当日は小春日和となり、講演会は予定通り午後2時に牡丹会館で始まった。受講者は制限人数通り50名で、講師は俳人協会理事の角谷昌子先生。角谷先生は、平成3年から震災前まで須賀川市教育委員会が主催し毎年実施していた「須賀川市俳句教室」講師などで須賀川と桔槹にはなじみの深い俳人・評論家で、今回の演題は「季語と取り合わせの効果—俳句鑑賞を楽しむ」。
講演は、明治から現代までの時代を代表する俳人の俳句を例に穴埋めクイズなどもまじえながら進行。『ホトトギス』全盛時代の作家から、虚子の花鳥諷詠・客観写生に反発する形で生まれた新興俳句の作家、人間探求派や根源俳句、境涯俳句や社会性俳句の作家など幅広く俳句史・俳壇史全体を眺望するもので、90分間飽きさせない興味深いものだった。
つづく4時30分からの牡丹焚火では、須賀川市長、江藤同人会長、ゲストの角谷講師によって火入れ式が行われた。来場者は約80名ほどで、桔槹関係者が約半数を占めた。
当日は風もほとんどなく、牡丹焚火は順調に進行した。観覧者は燃え上がる焔の朱色からしだいに燠となって紫に変わる色の変化と香り、しみじみとした美しさを堪能した。
俳句大会の投句は当日のほか、葉書での応募も受け付け、締め切りは11月23日までとされた。その結果合計72名から144句(前年比約75%)の応募があった。審査は、角谷昌子ゲスト選者のほか、森川光郎桔槹代表、江藤文子、金子秀子、永瀬十悟の各氏を選者として実施された。