2024年牡丹俳句大会

牡丹俳句大会盛会に ~大会講師に董振華先生~

 

 令和六年度牡丹俳句大会が、五月十二日午前十時から須賀川市民交流センター「tette」において開催された。今大会は、実人数百三十一名の俳人から七百二句もの投句を得て、それぞれ前回大会の百四名、五百五十二句を大きく上回った。その理由は、当然会員の皆様のご協力の賜物に他ならず、深く感謝申し上げます。特徴としては吟社以外からの投句も多く、多分に会員の皆様がお声掛けをしてくださったものと推察する次第である。

 

また、新型コロナウイルス感染症の法律上の位置づけが二類から五類に引き下げられ一年が経過したこともあり、大会参加者数はコロナ前並みに回復し約九十名となった。記念講演は、俳人・翻訳家の董振華先生による「わたしと俳句と中日文化交流」。本大会の長い歴史の中で初めて外国人講師を迎えた。必然講演内容も国際色豊かなものとなったが、先生の美しく流暢な日本語と真摯で丁寧な講演に聴講者は大いに満足したに違いない。

 

大会は、野崎キン子幹事の司会進行のもと、横山節哉副会長の開会の言葉に続き、江藤文子代表が主催者挨拶を行った。その中で、文字がなかった日本に中国から漢字が入って来たお蔭で、今の私たちの文字文化がある旨を伝え、日中文化交流の大切さに触れながら、それに携わる振華先生に敬意を表した。更に本日の講演を大変楽しみにしていたことを重ねて述べ、代表挨拶とした。続いて永瀬十悟同人会長の歓迎の言葉並びに講師紹介となった。振華先生の経歴等の紹介の中で、すでに四冊の句集を上梓されていること、俳人金子兜太との関係性等に触れると共に、先生の次の代表句が紹介された。

  

春暁の火車洛陽を響かせり

 

火車は中国語で汽車のこと。洛陽は隋や唐など九王朝の首都で、須賀川市の姉妹都市でもある。講演では、師金子兜太との親しい交わりや日中文化交流での自らの体験のほか、俳句に倣った新型式の漢詩「漢俳(かんぱい)」という文芸の誕生と発展、現在について多く語られた。講演の後に、牡丹俳句大会入選句の披講・表彰と振華先生から特選句、入選句の丁寧な選評をいただいた。最後に猪狩行々子副会長が閉会の言葉を述べ、大会の全日程を終了した。

総合成績と選者特選句は次のとおり。なお、投句数が前回大会より三割弱程増となったため、授賞句数もほぼ三割増の三十六句とし、更に選者特選全句にも副賞を贈呈した。