2022年度牡丹焚火俳句大会


県内の新型コロナウィルス感染状況は、11月に入って急増していた。令和4年度の牡丹焚火俳句大会も、密となる句会の実施を控えたことは正解であった。講演会は入場者数を制限のうえ、無事開催することができた。

1119日(土)当日は小春日和となり、講演会は予定通り午後2時に牡丹会館で始まった。受講者は制限人数通り60名で、講師は俳句甲子園常連校で、昨年初の三連覇を達成した開成高校教諭で俳人の佐藤郁良先生。先生は、平成25年から高校生向けに吟社が開催した俳句の実作教室「須賀川俳句の集い」の第一回の講師として須賀川にお出でいただいた。桔槹や須賀川にはなじみの深い先生で、その後も牡丹園や市内のゴルフ場、近隣の温泉などにも度々お出でくださったそうだ。今回の演題は「若者達への俳句指導広く、高く、深く」。

講演は、平成13年から22年連続出場し、優勝13回、準優勝4回という俳句甲子園へ学生を導いた経験を踏まえたもの。俳句の指導理念や指導方法、年間の活動スケジュールなどを、その時々の高校生俳人の作品鑑賞をまじえながらの講義で、90分間飽きさせない興味深いものだった。俳句の指導では、実作と鑑賞は俳句の両輪であり、教え過ぎないことを大原則としているという。また、特に印象に残ったのは、先生の教えた学生が、今では指導者となってその次の世代の育成に携わっているということ。指導者を育成するのは学生に指導する以上に難しい事だが、こうした連鎖を続けることが俳句の未来にとっての足掛かりになるであろうということであった。

つづく4時30分からの牡丹焚火では、須賀川市長、江藤同人会長、ゲストの佐藤郁良講師らによって火入れ式が行われた。来場者は約80名で、桔槹関係者が半数以上を占めた。

当日は風もなく、牡丹焚火は順調に進行した。観覧者は燃え上がる焔の朱色からしだいに燠となって紫に変わる色の変化と香り、しみじみとした美しさを堪能した。

ところで、佐藤郁良先生からは、初めて見た牡丹焚火の感想と当日詠まれた俳句を後日いただいたのでここで紹介する。

「この度は、牡丹焚火にお招きくださり、ありがとうございました。火入れした牡丹の枝が瞬く間に炎に変わったのが、大変印象的でした。この幻想的で素晴らしい伝統行事を、末永く引き継いでいただければと思います。皆様の郷土愛に心より敬意を表します。」

                                                                          

佐藤郁良氏の句

火の粉疾し牡丹焚火は闇育て

牡丹焚火しづかな子らも見てをりぬ

牡丹焚火果てたる星の強さかな

 

 

さて、俳句大会の投句は当日のほか、葉書での応募も受け付け、締め切りは1122日までとされた。昨年と一昨年は投句料が無料だったが、今回からはコロナ禍前と同じ千円の投句料となった。その結果合計75名から150句(前年は72名から144句)の投句があり前年をわずかに上回った。審査は、佐藤郁良特別選者のほか、森川光郎桔槹代表、江藤文子、金子秀子、永瀬十悟の各氏を選者として実施された。